削れる費用と
削れない費用
引越しの費用は「全部高い」のではありません。削れる項目と、削れない項目がはっきり分かれています。
まず全体を4つに分けます。そのうち削れるのは2つだけです。ここが分かれば、どこに時間を使うかが決まります。
4つのかたまり
4つのかたまりと、削れるかどうか
| 中身 | 金額の大きさ | いつ確定するか | 削れるか | |
|---|---|---|---|---|
| ①契約 | 敷金・礼金・仲介手数料・保証会社・火災保険・前家賃 | いちばん大きい | 物件を決めた時点 | × 内見のときにしか動かせない |
| ②運ぶ | 引越し業者 | 大きい | 見積もりを取ったとき | ○ 時期・曜日・時間帯で倍近く変わる |
| ③そろえる | 家具・家電・生活用品 | 中くらい | 入居後でも間に合う | ○ 買う以外の選択肢しだい |
| ④始める | 電気・ガス・水道・インターネット | 小さい | 期限がいちばん厳しい | △ ガスと通信は会社を選べる |
削る余地があるのは②③④です。①は物件を決めた瞬間にほぼ固まるので、内見の段階で内訳の明細をもらってください。
このうち①はほぼ交渉と物件選びで決まり、あとから削れません。削る余地があるのは②③④です。
削れない費用
①の契約費用は、物件を決めた時点でほぼ確定します。内見の段階で確認しておかないと、あとから動かせません。
確認する項目:
・敷金・礼金の月数
・仲介手数料(上限は家賃1か月分+消費税)
・保証会社の初回保証料と、更新のたびにかかる費用
・火災保険を自分で選べるか(指定されると割高になることがあります)
・鍵交換費用・室内消毒費用など、任意のはずの項目
最後の項目は、「任意」と説明されれば断れることがあります。契約前に内訳の明細をもらってください。
宅地建物取引業法は「宅地建物取引業者が…貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる」「前項の額をこえて報酬を受けてはならない」と定めています(第46条第1項・第2項)。
さらに同条第4項は、「その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、…報酬の額を掲示しなければならない」としています。つまり上限額は、その不動産屋の店内に貼ってあります。「報酬額の掲示を見せてください」と言えば出てきます。(2026-09-17 e-Gov法令検索で条文を確認)
削れる費用
②運ぶ費用。同じ荷物でも、時期・曜日・時間帯で倍近く変わります。3〜4月と土日は高い。平日午後の「フリー便」が最も安くなりやすい。
③そろえる費用。ここが一番の分かれ目です。「買う」以外の選択肢を知っているかどうかで総額が変わります。
④始める費用。ガスと通信は会社を選べます。電気・水道より自由度が高い分、差が出ます。
着手の順序
期限が早い順
物件が決まったらすぐ:インターネットの手配(工事は数週間かかります)
2〜3週間前:引越し業者の見積もり(複数社)、ガスの契約先を決める
1〜2週間前:電気・水道・ガスの開始手続き
入居後:家具・家電。実際に住んでからで間に合います
順番を間違えて損をするのは、ほぼインターネットです。最後に回すと、入居後しばらく使えません。→ ネット回線の手配
入居先で使えるガス会社の条件を無料で比べる
プロパンガスの物件は会社を選べる場合があります。比較の依頼は無料です。
- 見積もりは無料です。金額を見てから断って構いません
- 条件は住所・利用状況により変わります
- 見積もり・比較は無料です
忘れやすい費用
見積もりに出てこない5つの費用
| 忘れやすい費用 | なぜ見落とすか | 先にやること |
|---|---|---|
| 今の家の原状回復費用 | 敷金から引かれるので請求書が来ない | 退去立会いの前に、負担の範囲を契約書で確認する |
| 不用品の処分費用 | 家電リサイクル法の対象は捨てるのに費用がかかる | 捨てると決める前に値段を確かめる(支出が収入に変わることがある) |
| カーテン・照明 | 前の家のものが合わないことが多い | 内見のときに窓の寸法と照明の有無を見る |
| 住民票・免許証の変更 | 1件ずつは小さい | 手数料と交通費をまとめて1日で回る |
| 今の回線の解約金と工事費の残債 | 請求が引越しの後に来る | 解約の前に残債を問い合わせる |
この5つは見積書に出てきません。出てこないので、予算から抜け落ちます。
特に不用品の処分は、「捨てる」と決める前に値段を確かめるだけで支出が収入に変わることがあります。
断るときの手数料
相見積もりを取れない理由の多くは、金額ではなく「断りにくいこと」です。営業の人が家まで来て、その場で値引きをされると、断ると何か請求されるのではないかと考えます。手数料は国土交通省が定めた約款で上限が決まっています。
引越しをやめる・延ばすときの手数料の上限(標準引越運送約款 第21条)
| いつ申し出るか | 手数料の上限 | 運賃50,000円なら | 運賃80,000円なら |
|---|---|---|---|
| 2日前まで | 約款に定めがない | 0円 | 0円 |
| 前日 | 見積書に記載した運賃の10%以内 | 5,000円以内 | 8,000円以内 |
| 当日 | 見積書に記載した運賃の20%以内 | 10,000円以内 | 16,000円以内 |
出典:国土交通省「標準引越運送約款」第21条(解約手数料等)。条文は「見積書に記載した運賃の十パーセント以内」「二十パーセント以内」と定めており、上限であって定額ではありません。対象は運賃であり、付帯サービス料や実費は別に計算されます。同約款第3条第2項は、見積書に解約手数料の額を記載することを定めています。2026年9月18日に確認しました。
読み取ってほしいのは2日前までの行です。約款は前日と当日しか定めていません。2日前までに断るなら、手数料の定めがありません。見積もりを3社から取って、2日前までに2社を断る。これは約款どおりの使い方です。
もう1つ、「運賃の」と書かれている点を見てください。見積総額の10%ではありません。エアコンの取り外しなどの付帯サービス料や、実費(高速代・有料道路代)は運賃と別に計算されます。見積書の運賃がいくらなのかを、先に確かめてください。
そして約款は、見積書に解約手数料の額を書くことを事業者に求めています(第3条第2項)。見積書に手数料の額が書かれていないなら、その場で「解約手数料はいくらですか」と聞いてください。後から言われた額を、そのまま受け取る必要はありません。
→ ネット回線の手配/家具・家電をどう用意するか/子どもがいる場合
引越し・新生活の初期費用ガイドの記事一覧
一次情報の確認先
このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。