本ページの制度の記載は、警察庁および各都道府県警察・市区町村の公表内容にもとづきます。

返したいと思っても、返せない場合がある

親に「そろそろ免許を返したら」と言えずにいる。あるいは自分で迷っている。その「もう少し様子を見よう」が効かなくなる日があります。警察庁は「自主返納することができません」という場合を明記しているからです。行政処分の話が出た段階では、もう自分で返すことを選べません。そして処分で取り消されると、運転経歴証明書も自治体の支援も、一生受けられません。原文で確かめます。

このページの内容
  1. 免許の終わり方は3つある
  2. 返せるのは違反する前だけ
  3. 誰が返納できるか
  4. 返納できない場合
  5. 返納したら運転経歴証明書
  6. 順番が大事
  7. どこで手続きするか
  8. 返したあと元に戻せるか
  9. 返す前に確かめること
  10. 確認の順序
  11. 確認に使った一次情報
  12. よくある疑問

免許の終わり方は3つある

先にここを見てください。免許の終わり方は3つあり、そのうち1つだけ、あとから何も受け取れません。

3つの終わり方で、受け取れるものが変わる
自主返納更新せず失効処分で取消し
自分で選べるか選べる選べる(何もしない)選べない
運転経歴証明書交付を受けられる交付を受けられる受けられない
自治体・事業者の支援運転経歴証明書で受けられる同左受けられない
申請の期限返納後5年以内失効後5年以内—

警察庁「運転免許証の自主返納について」の記載にもとづきます。運転経歴証明書は、自主返納した方と、更新を受けずに失効した方が交付を受けられます。処分による取消しはこの2つに入りません。→ 運転経歴証明書は返納後5年以内/自治体の支援は市区町村ごとに違う

つまり、返納するかどうかは「するか・しないか」の二択ではありません。「自分で選んで返す」か「選べなくなってから取り上げられる」かの二択です。

返せるのは違反する前だけ

ここがこのページで一番大事なところです。

ただし、運転免許の停止・取消しの行政処分中の方や、停止・取消処分の基準等に該当する方等は、自主返納することができませんので、ご注意ください。

「停止・取消処分の基準等に該当する方」——処分が下りていなくても、基準に該当した時点で返納できなくなります。違反を重ねて「そろそろ危ない」と家族が思う段階は、すでに手遅れになっている可能性があります。

いつ動けるか

タイミング自主返納何が起きるか
違反も処分もないできる3つの終わり方から選べます。ここでしか選べません
違反を重ねて基準に該当できない処分を待つことになります
行政処分中できない同上
処分で取消し—運転経歴証明書の交付を受けられません

出典:警察庁「運転免許証の自主返納について」。「等」と書かれており、これに限られません。個別の判断は都道府県警察の運転免許センター等にご確認ください。

「まだ事故を起こしていないから大丈夫」は、この制度では逆です。事故も違反もない今だけが、自分で選べる時期です。→ 家族に切り出すときの順番/75歳からの認知機能検査/違反があると更新前に実車の検査がある

誰が返納できるか

警察庁の記載を原文で引きます。

運転免許が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の低下等のため運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーの方は、自主的に運転免許証を返納することができます。

年齢の条件は書かれていません。「運転免許が不要になった方」も含まれます。高齢者だけの制度ではない、ということです。

返納できない場合

そして、この一文が続きます。

ただし、運転免許の停止・取消しの行政処分中の方や、停止・取消処分の基準等に該当する方等は、自主返納することができませんので、ご注意ください。

自主返納できない場合(警察庁の記載)

状態
運転免許の停止・取消しの行政処分中
停止・取消処分の基準等に該当する方

出典:警察庁「運転免許証の自主返納について」。「等」と書かれており、これに限られません。個別の判断は都道府県警察の運転免許センター等にご確認ください。

ここが実務では効きます。違反を重ねて処分の話が出ている段階で「先に返してしまおう」としても、返納できないことがあります。

そして処分による取消しになった場合、運転経歴証明書の交付を受けられません。→ 運転経歴証明書は5年以内

返納したら運転経歴証明書

運転免許証を自主返納した方や運転免許証の更新を受けずに失効した方は、運転経歴証明書の交付を受けることができます。

2つの入り口があります。

運転経歴証明書の交付を受けられる人

状態
自主返納した方自分で手続きをして返した
運転免許証の更新を受けずに失効した方返納しなくても、更新しなければ対象になる

出典:警察庁。2つ目は見落とされがちです。更新しないまま失効した場合も、5年以内なら交付を受けられます。

そして本人確認書類として使えます。

平成24年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として、利用することができます。

免許を返すと本人確認の手段が無くなる、という心配はここで解けます。

順番が大事

返納と運転経歴証明書の申請は別の手続きです。同時にできる場合もありますが、「返しただけ」で終えると、あとから期限が来ます。

推奨される順序

  1. 返納できる状態かを確認する行政処分中でないか。不安があれば運転免許センターに先に電話する。
  2. 運転経歴証明書を申請するかを決める本人確認書類として使えます。自治体の支援を受けるのに必要な場合があります。
  3. 必要書類を確認する都道府県警察によって異なります。写真が必要な場合があります。
  4. 同時に申請できるかを聞く返納と同時に運転経歴証明書を申請できる窓口があります。
  5. 自治体の支援を調べる→ 自治体の支援を調べる

どこで手続きするか

申請場所や受付時間、申請に必要な書類、要件等の詳細は、各都道府県警察の運転免許センター等にお問い合わせ下さい。

警察庁は具体的な場所を示していません。都道府県ごとに運用が違うからです。運転免許センター・警察署・幹部交番など、受け付ける場所が分かれています。

問い合わせのときに聞くこと

車庫や物置を整理するときの順序は、別にまとめています。→ 実家の片付けと買取ガイド

返したあと元に戻せるか

自主返納した免許は、取り消しの申請をしたのと同じ扱いです。元に戻す制度はありません。もう一度運転したい場合は、新規に取得することになります。

ここは慎重に判断する必要があります。返納は、いつでもできます。期限があるのは運転経歴証明書のほう(返納後5年)です。

急ぐものと、急がないもの

期限
自主返納そのもの期限なし。いつでもできる
運転経歴証明書の申請自主返納後5年以内(失効の場合は失効後5年以内)
更新をせずに失効させる更新期間を過ぎれば失効する

出典:警察庁。迷っているなら、返納を急ぐ理由はありません。ただし返納したなら、経歴証明書は5年以内に申請してください。

返す前に確かめること

状況別に考える

まだ運転しているが、不安がある

返納はいつでもできます。急ぐ必要はありません。次の更新のときに認知機能検査があるなら、その結果を見てから決める方法もあります。→ 75歳からの認知機能検査

更新の通知が来たが、更新するか迷っている

更新せずに失効させた場合も、運転経歴証明書の交付を受けられます。ただし失効後5年以内です。

違反をして、処分の通知が来ている

行政処分中は自主返納できません。また処分による取消しでは運転経歴証明書の交付を受けられません。運転免許センターに状況を伝えて確認してください。

家族に返納を勧められている

本人の意思で行う手続きです。返納後の移動手段を先に決めておくと、話が進みやすくなります。→ 家族から切り出すとき

車はもう乗らないが、身分証明が心配

運転経歴証明書が本人確認書類として使えます。平成24年4月1日以降に交付されたものが対象です。

確認の順序

返納を考えたら

→ 返納できない場合がある/運転経歴証明書は5年以内/75歳からの認知機能検査/運転技能検査と高齢者講習/自治体の支援を調べる/家族から切り出すとき

確認に使った一次情報

よくある疑問

何歳から返納できますか。

警察庁の記載に年齢の条件はありません。「運転免許が不要になった方」も対象です。

返納したら元に戻せますか。

元に戻す制度はありません。再び運転するには新規に取得することになります。

家族が代わりに手続きできますか。

都道府県警察によって取り扱いが異なります。運転免許センターにお問い合わせください。

原付だけ残すことはできますか。

一部の免許だけを返納する手続きの可否は都道府県警察によります。窓口で確認してください。

返納に費用はかかりますか。

返納自体と運転経歴証明書の交付で扱いが異なります。手数料は都道府県によるため、窓口で確認してください。

入院中で本人が行けません。

代理申請の可否を運転免許センターに確認してください。都道府県によって取り扱いが異なります。
このあと必要になること
免許を返したあとは移動の費用が生活費に乗ってきます。
→ 続きはこちら

高齢ドライバーの免許手続きガイドの記事一覧

このページが扱う範囲
本ページは運転免許の手続きについての一般的な整理です。申請場所・受付時間・必要書類・自治体の支援内容は、都道府県警察および市区町村ごとに異なります。実際の手続きは、お住まいの都道府県警察の運転免許センター等にご確認ください。

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド