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2026年9月更新 容量の数字だけ見ても決まらない

冷蔵庫を
何時間動かしたいか

ポータブル電源は容量の数字が並びますが、選ぶ基準は「何を、何時間動かすか」の1つだけです。

出力Wで動かせるかが決まる
容量Whで時間が決まる
3日が一般的な目安

「とりあえず大きいのを買っておく」は、重くて持ち出せず、使わないまま劣化します。先に用途を決めます。

このページの内容
  1. 何を動かすかを決める
  2. 容量の計算
  3. 何Whがいくらか
  4. 何を買えばいいか(4種類)
  5. 電源以外の備え
  6. 買った後の運用

何を動かすかを決める

用途は3段階に分かれる

①情報と連絡だけ。スマートフォン、ラジオ、照明。小型で足ります。
②生活の維持。①に加えて、扇風機・電気毛布・小型冷蔵庫・ノートパソコン。中型が必要。
③在宅避難・医療機器。より大きな出力と容量が必要。用途を医療機関に確認してください。

多くの家庭では①〜②で足ります。③に該当する機器(在宅酸素、吸引器など)がある場合は、必ず主治医・機器の提供元に相談してください。本サイトの一般論では判断できません。

エアコンや電子レンジ、ドライヤーは消費電力が大きく、一般的なポータブル電源では動かせないか、短時間しか使えません。ここは期待しないほうが現実的です。

容量の計算

2つの数字を見ます。

①定格出力(W):その機器を動かせるかどうかを決めます。機器の消費電力より小さいと、そもそも動きません。
②容量(Wh):どれだけの時間動かせるかを決めます。

目安の計算は 容量(Wh) ÷ 機器の消費電力(W) = おおよその使用時間。ただし変換の効率があるため、実際は計算値より短くなります。余裕を持って見てください。

手順:
1. 動かしたい機器を書き出す
2. それぞれの消費電力を調べる(本体の表示か取扱説明書に記載)
3. 何時間使うかを決める
4. 合計を出し、2割ほど余裕を足す

この4手順で、必要な出力と容量が決まります。先に製品を見ると、必ず判断がぶれます。

容量別のラインナップと、動かせる機器を確認する

定格出力によって使える機器が変わります。仕様は公式サイトでご確認ください。

掲載内容は各社公式サイトの公表値です。効果には個人差があります。広告(PR)を含みます。

何Whがいくらか

容量を決めたら、価格帯はこうなります。Jackery公式サイトの公表価格です(2026年9月17日確認・税込)。

容量・出力・価格と、1Whあたりの単価

製品容量定格出力価格(税込)1Whあたり
ポータブル電源500New512Wh500W59,800円約117円
ポータブル電源1000New V31,024Wh1,500W109,800円約107円
ポータブル電源1500New1,536Wh2,000W149,800円約98円
ポータブル電源2000New2,042Wh2,200W209,800円約103円
ポータブル電源3600Plus3,584Wh3,000W359,800円約100円

出典:Jackery公式サイトの公表価格(2026年9月17日確認)。1Whあたりは当サイトが価格÷容量で計算した値です。セール期間は価格が変わります。

1Whあたりが、どれも100円前後で並んでいます。つまり大きいものを買っても割安になりません。容量を倍にすれば、値段もほぼ倍です。
「大は小を兼ねる」で選ぶと、そのぶん丸ごと払うことになります。先に必要な容量を決めることが、唯一の節約です。

目安はこうなります。①情報と連絡だけなら数百Wh(数万円台)。②生活の維持まで含めるなら1,000Wh前後(10万円前後)。ここから先は、何をどれだけ動かすかで決まります。

必要なWhを自分で出す(この表を埋めてください)

動かすもの消費電力(W)使う時間必要なWh
例:小型冷蔵庫60Wと書いてあるなら24時間60×24=1,440Wh
例:スマートフォンの充電1回あたり約15Wh4人×2回15×8=120Wh
例:LED照明10W6時間10×6=60Wh
あなたの機器①本体か説明書の表示(W×時間)
あなたの機器②

消費電力(W)×時間=必要なWh。最後に3〜4割の余裕を足してください。変換の損失があるため、計算値そのままでは足りません。

冷蔵庫は数字の読み方に注意してください。表示されている消費電力は圧縮機が回っているときの値で、実際は動いたり止まったりします。一方で動き始めに表示より大きな電力が要ります。容量(Wh)が足りていても、定格出力(W)が足りないと起動しません。容量と出力は別の数字です。

何を買えばいいか(4種類)

①モバイルバッテリー。スマートフォン数回分。安価で、まず持つべきもの。

②ポータブル電源。家電が動かせる出力を持つもの。停電時の中心になります。リン酸鉄か、三元系か(リン酸鉄など)によって寿命と安全性の傾向が異なります。

③ソーラーパネル。長期停電に備えるなら組み合わせる。天候に左右されるため、これ単体では計画が立ちません。

④発電機。出力は大きいが、燃料の保管と排気の問題があります。屋内では絶対に使用しないでください(一酸化炭素中毒の危険があります)。

集合住宅では④は現実的ではありません。②を中心に、③を補助とするのが一般的な構成です。

電源以外の備え

電源だけあっても生活は維持できません。優先順位はこの順です。

1. 水。1人1日3リットルが一般的な目安。最も重い、最も足りなくなる
2. トイレ。断水時に最初に困ります。携帯トイレ
3. 食料。加熱せずに食べられるもの
4. 明かり。懐中電灯より、置ける照明のほうが実用的
5. 情報。ラジオ、モバイルバッテリー
6. 暑さ寒さ対策。季節により優先度が変わります

電源は4〜6を支える道具という位置づけです。1〜3が無い状態で電源だけ買うのは、順番が逆になっています。

→ 家庭の状況別の備え

買った後の運用

ポータブル電源は置いておくだけだと劣化します。

・数か月に一度は充電する(放置による過放電を避ける)
・普段から使う。アウトドアや在宅勤務のバックアップとして使うと、操作に慣れます
・保管場所は高温を避ける
・すぐ持ち出せる場所に置く。押入れの奥だと、必要なときに出せません
・家族が使い方を知っていること

最後の項目が最も重要です。本人がいないときに停電が起きる可能性を考えてください。

→ 家庭の状況別の備え/離れて暮らす親の備え

何を買えばいいか(4種類)を、使える場面で並べる

種類屋内で使えるか燃料の備蓄動かせる家電の目安
モバイルバッテリー使える不要(充電のみ)スマートフォン、小型ライト
ポータブル電源使える不要(充電のみ)照明、通信機器、小型の調理家電、機種により冷蔵庫
カセットガス発電機屋外のみカセットボンベ消費電力の大きい家電も含む
ガソリン発電機屋外のみガソリン(保管に注意)消費電力の大きい家電も含む

屋内で使えるかどうかが、最初の分かれ目です。発電機は排気があるため屋内では使えません。集合住宅で、屋外にも置けない事情があるなら、選択肢は実質ポータブル電源に絞られます。

必要な容量を出す手順

  1. ① 停電中に動かす機器を書き出す「あったら便利」ではなく「止まると困る」ものだけに絞ります。ここを広げると容量が跳ね上がります。
  2. ② 各機器の消費電力(W)を本体か説明書で確認するカタログの最大値ではなく、定格を見ます。冷蔵庫のように動いたり止まったりするものは、起動時に大きな電力が必要な点にも注意します。
  3. ③ 使う時間をかけ合わせる消費電力(W)×使用時間(時間)÷1000=必要な電力量(キロワット時)。この単位で製品を比べます。
  4. ④ 余裕を上乗せする変換の損失や、想定外の使用があるため、計算値そのままでは足りません。3〜4割の余裕を見ておくと現実に合います。
  5. ⑤ 出力(W)が足りるかを別に確認する容量が足りていても、同時に使う機器の合計出力を超えると動きません。容量と出力は別の指標です。

買う前に確認する項目

よくある失敗と、その避け方

容量だけ見て買い、出力が足りなかった

容量(ワット時)は「どれだけ持つか」、出力(W)は「何を動かせるか」です。この2つは別物で、両方を満たす必要があります。

買ったまま満充電で放置し、いざというとき使えなかった

保管中も少しずつ放電します。数か月に一度は残量を確認し、充電する運用を決めておかないと、必要なときに空になっています。

冷蔵庫を動かすつもりが、起動時の電力で止まった

冷蔵庫やポンプのようにモーターを持つ機器は、動き始めに定格より大きな電力を必要とします。定格だけで判断すると足りません。

屋内で使えない発電機を、集合住宅で買ってしまった

発電機は排気があるため屋内では使えません。ベランダも、隣戸への影響と排気の逃げ場を考えると現実的ではない場合があります。

よくある疑問

何日ぶんの電源を用意すればよいですか。

一律の正解はありません。自宅が停電したときに、避難するのか、自宅にとどまるのかで必要量が変わります。とどまる前提なら、まず「照明と通信を確保する」ところから積み上げるのが現実的です。

最初から冷蔵庫まで含めると、必要容量も価格も一段上がります。段階的に決めてください。

ポータブル電源と発電機、どちらを選ぶべきですか。

屋内で使う必要があるならポータブル電源です。発電機は排気があるため屋内では使えません。

一方、消費電力の大きい機器を長時間動かす必要があり、屋外に設置できるなら、発電機のほうが燃料を足すことで運転を続けられます。

太陽光パネルは一緒に買ったほうがよいですか。

停電が長引く場合には有効です。ただし、発電量は天候と設置角度に左右されるため、これだけを前提にすると計画が崩れます。

まず本体で必要量を満たし、長期化への備えとして後から足す、という順序が扱いやすい形です。

電池はどれくらい持ちますか。

充放電の繰り返しに応じて容量は少しずつ減ります。製品仕様には「何回の充放電で容量が何割まで下がるか」という形で記載されていることが多いので、そこを比べてください。

使用頻度が低ければ、回数より年数のほうが効いてきます。

停電時、家じゅうの電気をまかなえますか。

ポータブル電源では、家全体をまかなうことはできません。必要な機器を選んで、そこにつなぐ使い方になります。

家全体を対象にするなら、蓄電池や自家発電設備といった、設置工事を伴う設備の話になります。

普段はどう使えばよいですか。

防災用として置いたままにすると、放電して使えなくなりがちです。屋外での作業や、車中泊など、普段から使う用途を1つ決めておくと、自然に充電の機会が生まれます。

「使いながら備える」ほうが、結果として非常時に動きます。

持ち出すことも考えると、重さはどれくらいまでが現実的ですか。

階段を使って運ぶ可能性があるなら、実際に持ち上げてみて判断してください。容量が大きいほど重くなるため、容量と可搬性はトレードオフの関係にあります。

「自宅で使う大きいもの」と「持ち出す小さいもの」を分けて考える方法もあります。

必要な電力量の計算例(考え方)

この例では、容量400Wh前後が最低ラインになります。冷蔵庫を加えると桁が変わります。

状況別の判断

「どれを買うか」の前に、「どこで、何を、何時間動かすか」で選択肢が絞れます。

集合住宅・停電時は自宅にとどまる想定

屋内で使えることが必須条件になるため、ポータブル電源に絞られます。発電機は排気があるため使えません。

まず照明と通信を確保する容量から始め、余裕があれば調理や冷蔵に広げる、という順序が現実的です。

戸建て・庭やガレージがある

発電機も選択肢に入ります。燃料を足せば運転を続けられるため、停電が長引く場合に強みが出ます。

ただし燃料の保管には制約があります。カセットガス式のほうが保管の負担は小さくなります。

在宅で仕事をしている

通信機器とパソコンを止めないことが目的になります。消費電力は大きくないため、必要な容量は読みやすい部類です。

出力波形が正弦波かどうかを確認してください。精密機器では、ここが動作の可否に関わります。

小さな子どもや高齢の家族がいる

照明と通信に加えて、季節によっては温度管理が必要になります。夏の扇風機、冬の電気毛布は、消費電力に対して効果が大きい機器です。

この2つを想定に入れると、必要容量の見積もりが現実に近づきます。

よくある誤解

「容量が大きければ何でも動く」

容量(ワット時)は持続時間、出力(W)は動かせる機器を決めます。容量が十分でも、出力が足りなければ機器は動きません。

「買っておけば安心」

保管中も少しずつ放電します。数か月に一度は充電する運用を決めておかないと、必要なときに空になっています。

「発電機のほうが強いから発電機にする」

出力は大きいですが、排気があるため屋内では使えません。集合住宅で自宅にとどまる想定なら、選択肢になりません。

この分野で混同されやすい言葉

言葉意味判断への影響
容量(Wh)どれだけの時間、電気を供給できるか必要な使用時間から逆算する
定格出力(W)同時に動かせる機器の合計の上限超えると動かない
起動電力モーターを持つ機器が動き始めに必要とする電力定格だけで判断すると足りない
正弦波家庭のコンセントに近い波形精密機器を使うなら重要

判断の流れ(まとめ)

順序は「何を動かすか」→「何時間か」→「合計の出力」→「必要な容量」です。動かす機器を「止まると困るもの」に絞り、消費電力×時間で必要量を出し、変換の損失を見込んで3〜4割上乗せします。そのうえで、同時使用の合計が定格出力に収まるかを別に確認します。屋内で使う必要があるなら、この時点でポータブル電源に絞られます。

停電・防災の電源確保ガイドの記事一覧

一次情報の確認先

このページに書いたことは、以下の公的機関の公表情報で確かめています。制度は変わることがあるので、確かめた日を各所に書き、確認先も置いています。

次に見ておくガイド